ビッグファイブで適職を考える
ビッグファイブの結果だけで、適職は決まりません。5因子は、普段の行動や負担を感じる場面を振り返り、職場で確かめたい条件を整理する材料です。 興味のある仕事を探すときは、RIASECも別の手がかりになります。
「同じ仕事なのに、職場が変わると疲れ方が違う」。そう感じたら、 職種名の前に、会議の多さ、進め方の自由度、相談できる相手を見直してみませんか。 この記事では、そのための具体的な問いを並べます。
仕事選びには、Big FiveとRIASECのどちらを使う?
Big Fiveでは、開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向の5因子を見ます。 「どんな場面で自分らしく動けるか」を振り返る入口です。 基礎はビッグファイブの解説にまとめています。
RIASECは、仕事や活動への興味を6つの方向から整理します。 同じ性格傾向でも、研究に惹かれる人も、人を支える活動が好きな人もいます。 詳しくはRIASECの考え方を参照してください。
このサイトでは2つの尺度を別々に扱い、性格の点数から職業を自動的に決めることはしません。 まずは普段の行動を振り返るか、好きな活動を整理するか、知りたいことから選んでください。
5因子別:職場で確かめたい条件は?
以下は編集部が作成した振り返りの問いです。研究で適職が確定した一覧ではありません。 高低の両側を読み、実際に困った場面や働きやすかった場面に照らして使ってください。
- 新しい方法を試せる余地はあるか
- 学びや企画に使える時間はあるか
- 手順や期待される成果が明確か
- 変更の理由や準備期間が共有されるか
- 計画を立てて進める時間が取れるか
- 確認の負担を一人で抱え込んでいないか
- 締切や優先順位を見える形にできるか
- 作業を小さく区切り、途中で確認できるか
- 相談や意見交換の機会はあるか
- 集中する時間との切り替えができるか
- 静かに集中する時間を確保できるか
- 会議の前に資料を読んで準備できるか
- 協力の範囲や役割分担が明確か
- 頼まれごとを断れる仕組みがあるか
- 異論を落ち着いて伝える場があるか
- 判断基準と伝え方を共有できるか
- 急な変更が起きたときの相談先はあるか
- 負荷や休息について話し合えるか
- 落ち着いていても確認手順を省いていないか
- 周囲が負担を感じていないか確認できるか
誠実性が低いと、仕事ができない?
1991年のBarrickとMountのメタ分析では、対象となった職種群を通じて、 誠実性と職務成果との関連が報告されています。 ただし、集団での関連を使って、一人の仕事の能力を判定することはできません。
「誠実性が低いから起業向き」「高いから医療職向き」と職業名に置き換えるのも避けます。 仕事に必要な資格、知識、経験は、この性格尺度では測っていません。
締切を忘れることが気になるなら、予定を一か所に集める、途中の確認日を決める、といった工夫を試せます。 点数の評価より、どの場面で何が起きているかを具体的にするほうが、次の行動につながります。
リモートワークとの相性は、どう確かめる?
5因子の点数から、出社か在宅かを一律に勧めることはできません。 人と話す頻度だけでなく、集中できる場所、質問への返答の速さ、担当する作業も確認してください。
たとえば一人で集中したい人でも、質問する相手が見つからないと仕事は進みません。 反対に、人と話すことが好きでも、会議が続く日は作業時間が足りなくなるかもしれません。
働き方を試せるなら、勤務後の疲れ方、相談に困った場面、進んだ作業をメモして比較してみましょう。内向性と刺激の感じ方も、環境を見直す視点になります。
研究でわかることと、わからないことは?
BarrickとMount(1991)は、 性格と職務成果の関連を検討しました。成果との関連は因子や職種によって異なり、 性格スコアから個人に最適な職業をひとつ選ぶ研究ではありません。
Judgeら(2002)は、 163の独立したサンプルから性格と職務満足度を検討しています。 満足度との推定相関は神経症傾向が−.29、外向性が.25、誠実性が.26でした。 これは性格を変えれば満足度がその分上がる、という因果関係の証明ではありません。
仕事の成果と満足度も別の指標です。このサイトの診断は自己理解の参考として使い、 応募先の仕事内容や勤務条件、実際に働く人の話と照合してください。
結果を、応募先への3つの質問に変えるには?
まず、結果の中で思い当たる因子をひとつ選びます。 次に、最近の仕事で疲れた場面を書き出し、「環境の何が変われば働きやすいか」を考えます。 そのうえで、面談や職場見学で聞く質問に変えてみてください。
- 会議や共同作業と、一人で集中する時間は、どのように配分されていますか。
- 急な依頼が重なったとき、優先順位は誰と決めますか。
- 困ったときの相談先や、進捗を確認する機会はありますか。
同じ質問への答えでも、心地よいと感じる条件は人それぞれです。 経験や資格、収入、勤務時間などの希望も並べ、自分が譲れない条件を整理してください。
よくある質問
- QBig Fiveの結果だけで適職や転職先を決めていいですか?
- 決められません。Big Fiveは性格傾向を振り返る尺度で、個人の職業能力や採用の適否を判定するものではありません。仕事内容、興味、経験、資格、勤務条件も合わせて確かめてください。
- Q誠実性が低いと仕事ができないのでしょうか?
- その点数だけでは判断できません。誠実性と職務成果には研究上の関連がありますが、集団の傾向から個人の能力は断定できません。締切や作業手順を見える形にするなど、困っている場面への対策を考える材料にしてください。
- QBig FiveとRIASECの適職診断はどう使い分けますか?
- Big Fiveは性格傾向、RIASECは仕事や活動への興味を捉えます。普段の行動を振り返りたいときはBig Five、どんな活動に惹かれるか整理したいときはRIASECが入口です。どちらも資格や実務能力を測る試験ではありません。
- Q内向的なら、リモートワークを選ぶべきですか?
- 内向性だけでは決められません。一人で集中できる場所、相談しやすさ、仕事内容、生活の都合を合わせて検討してください。可能なら働き方を試し、疲れ方や成果を振り返るほうが具体的です。
参考文献
- Barrick, M. R., & Mount, M. K. (1991). The Big Five personality dimensions and job performance: A meta-analysis. Personnel Psychology, 44(1), 1–26.
- Judge, T. A., Heller, D., & Mount, M. K. (2002). Five-factor model of personality and job satisfaction: A meta-analysis. Journal of Applied Psychology, 87(3), 530–541.
- Holland, J. L. (1997). Making Vocational Choices: A Theory of Vocational Personalities and Work Environments (3rd ed.). Psychological Assessment Resources.
適職一覧で納得できないとき、何を足して考える?
「研究職」と書かれていても、調べる作業が好きなのか、成果を発表したいのか、静かな環境を求めているのかで、確かめたい条件は違います。職業名をそのまま答えにせず、「好きな作業」「今ある技能」「続けられる条件」の3つに分けてメモします。
例えば調査は好きでも、急な依頼が重なると負担になるなら、仕事内容だけでなく相談窓口や優先順位の決め方を面談で聞く。これは検査から適職を確定する手順ではなく、求人を見るときの編集部の提案です。
考える仕事の進め方はINTPとINTJの比較にある仕事の具体例でも扱っています。タイプ名で職種を決めず、普段の条件と照らして読んでください。
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